民法・関連法令法令基準日 2018年4月1日
平成30年度(2018年)管理業務主任者試験 問6
不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 1不法行為の時点で胎児であった被害者は、出生後、加害者に対して財産的損害の賠償を請求することはできない。
- 2不法行為による慰謝料請求権は、被害者がこれを行使する意思を表明し、又はこれを表明したと同視すべき状況にあったときはじめて相続の対象となる。
- 3使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたこと、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったことを証明できなければ、被用者に故意又は過失がなくても、使用者は、被用者がその事業の執行につき第三者に加えた損害を賠償しなければならない。
- 4土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者がその損害を賠償する責任を負うが、当該占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
正解 肢4
出典:平成30年度 管理業務主任者試験 問6。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説AI解説
本問の論点
不法行為について、胎児の損害賠償請求権、慰謝料請求権の相続、使用者責任、工作物責任を横断的に問う問題である。責任を負う者とその順序を正確に押さえているかが問われる。
正解の根拠
民法第717条第1項は、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負い、ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならないと定める。占有者が第一次的に責任を負い、占有者が免責されるときに所有者が責任を負うという構造である。よって、正解は肢4。
各肢の検討
肢1:誤り。胎児は損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなされ、出生後に財産的損害の賠償を請求できる。
肢2:誤り。慰謝料請求権は、被害者が行使の意思を表明しなくても当然に相続される。
肢3:誤り。民法第715条第1項は、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うと定めるが、この責任は被用者に故意又は過失があることを前提とする。
肢4:正しい。占有者が必要な注意をしたときは所有者が賠償する。
一言まとめ
工作物責任は占有者が先、所有者が最後の受け皿。
一問一答各肢の正誤
×肢1不法行為の時点で胎児であった被害者は、出生後、加害者に対して財産的損害の賠償を請求することはできない。
誤り。胎児は損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなされ、出生後に財産的損害の賠償を請求できる。
×肢2不法行為による慰謝料請求権は、被害者がこれを行使する意思を表明し、又はこれを表明したと同視すべき状況にあったときはじめて相続の対象となる。
誤り。慰謝料請求権は、被害者が行使の意思を表明しなくても当然に相続される。
×肢3使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたこと、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったことを証明できなければ、被用者に故意又は過失がなくても、使用者は、被用者がその事業の執行につき第三者に加えた損害を賠償しなければならない。
誤り。民法第715条第1項は、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うと定めるが、この責任は被用者に故意又は過失があることを前提とする。
○肢4土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者がその損害を賠償する責任を負うが、当該占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
正しい。占有者が必要な注意をしたときは所有者が賠償する。
関連条文解説で引用
- 民法第717条第1項
- 民法第715条第1項
法令基準日:2018年4月1日現在で施行されている規定に基づく。本サイトの解説は学習補助を目的とし、法的助言ではありません。